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えきん
絵金祭りのルーツ
※所蔵家である氏氏により芝居絵屏風の展示が行われます。境内でも作品が展示されていますが、そちらはレプリカです。
夜店などの出店はありません。
※ご不明な点は 絵金蔵 までお問合せください。
しばいえびょうぶ
歌舞伎や浄瑠璃のクライマックスを、二つ折りの屏風に描いた土佐独特の形式。幕末から昭和にかけて、神社やお堂の夏祭りのため氏子たちが絵金やその弟子たちに競い合って注文しその屏風を奉納することが大流行しました。
その芝居絵屏風の代表的な作品が数多く残る赤岡は、かつて香南の商都として大変栄えた町でした。一年分の米代にも当たると言われた高価な屏風絵は、この赤岡の豪商たちがいわばパトロンとなって描かせたものと考えられます。
赤岡のみならず、高知県沿岸部を中心に約10カ所で今も芝居絵屏風を飾る夏祭りが行われ、現在は出されなくなった作品を含めると200点以上の芝居屏風絵が伝えられています。
父親の前で娘が責め立てられ、ついには殺されてしまう場面。絵金祭りの蝋燭の灯りの元、この愁嘆場をじぃっと目が慣れるまで見つめてみると襖の中に浮かび上がる人の顔…。というのは半分冗談で、顔料で上から塗られていますが、障子の部分にうっすら見えているのは顔の下書きです。芝居絵屏風という大型の作品を描く際、下書きをしながら試行錯誤していたのかもしれません。
絵馬提灯は、長方形の箱型に蝋燭をともし、和紙面に描かれた画面を観る、絵馬を発展させたもので、神社の宵祭りを彩り参道を照らす明かり取りともなり、行燈画とも呼ばれます。絵金祭りの際、横町の通りでご覧いただくことができる作品です。
白描とは、線または淡彩で描かれた絵画。下絵や粉本、素描などを指します。
絵金蔵が毎年7月頃に開催している「白描展」で見ることができ、その滑らかで美しい墨線からは絵金の画力の高さがうかがえ、一見淡白にも思える画面は、迫力ある芝居絵屏風とは異なる新たな絵金の魅力を見る者に伝えてくれます。
赤岡に残された芝居絵屏風は、奉納された頃より代々、所蔵家宅に保管されていましたが、高齢化が進むなかでより安全な保管場所が求められるようになり、平成17年2月、収蔵庫をそなえた美術館・絵金蔵が完成しました。以後、芝居絵屏風がこの絵金蔵に保管され、夏祭りの夜には町内四地区と個人からなる所蔵家のもとに、年一度の里帰りをするのが恒例となっています。
現代の所蔵家たちも、商いをしながら屏風を活かし、守り、後世に伝えていく活動を続けています。
一見良好な状態に思える赤岡の芝居絵屏風ですが、実際に描かれたのは160年ほど前のこと。実際は経年劣化が着々と進み、非常に危険な状態です。
持ち主たち・赤岡絵金屏風保存会は「大切な宝物を後世へ残したい」と修理の実現を目指し地道に活動を続け、ついに2019年4月から本格的な保存修理を実施できることになりました。
画面の中央が織り込まれすぎており、蝋燭の煙などで全体が汚れている。
織り込んだ部分が元に戻り、蝋の汚れが除去され、縁の裂は新しくなった。
赤岡に残る23隻のうち、既に修理が終わっている5隻を除いた18隻を数年間にわたって修理していくという修理事業は順調に進み、2019年度に修理が完了した4隻は2020年4月から全国3館を巡回する展覧会「奇才 江戸絵画の冒険者たち(主催:読売新聞社、開催3館)」で展示。
沢山の方々のご理解とご協力で進められている修理は、祭りで町に芝居絵屏風を並べるという絵金文化を守り伝えていくことへと繋がります。
今回は赤岡に残る芝居絵屏風を対象としたものではありますが、県内各地に残る絵金やその弟子らによる作品は大切に保管され、地元の祭りに展示される等、脈々と受け継がれています。今すぐこれら全てに対して求められる修理を行うことは難しいかもしれませんが、今回の事業をきっかけに文化財の在り方を改めて考え、できることを少しずつ進めるための足掛かりとなることを願っています。
修理作業に取り掛かる前の状態調査を行います。
本誌を下地から
取り外します。
古くなった裏打紙を
取り除きます。
画面に付着している
汚れ等を取り除きます。
欠損している箇所を
繕います。
新しい裏打紙を
貼り付けます。
新たに繕った補修紙に
対し周辺部と調和する
程度に着彩します。
装飾を取り付けて
屏風装に仕上げます。
★ワンポイント★
様々な工程に画面が耐えられるように
要所で、絵具層が剥離している箇所に
膠水溶液を塗り、接着させます。
中央の折り込み部分が本来の形に戻ったことで、
図様のズレが解消され、醜女累の顔や与左衛門の足の面積が増えた!